あたしを知らないキミへ


そう言っておかしそうに笑うお母さん。

「それぐらい疲れてるんだっつーの」
「それはお疲れね。はい、ご飯」
「ありがと」

サキに餌をやってから、あたしは椅子に座った。

「今日雨降りそうねー。傘持っていきなさいよ」
「折り畳み傘持ってく。普通の傘は大きくてかさばるから」

お母さんの言った通り、空は薄暗く今にも雨が降ってきそうだった。

だけど、あたしはそんな曇り空がいい。
なんか落ち着く。
でも雨まで降るのは勘弁。

そんなことを思いながら、朝食を済ませた。