あたしを知らないキミへ

あたしが一番に聞いてあげなきゃいけないのに、そんな勇気がなかった。
そしてあたしは、朋美に何も聞けないまま一日が過ぎていってしまった。


学校が終わった後、あたしは近くのショッピングモールに来ていた。
朝、学校に行く時にお母さんに買い物を頼まれて、買いに行った。
お母さんが書いたメモを頼りに、必要な物を買っていたら、

「恵美加ちゃん?」

突然後ろから誰かに名前を呼ばれて振り返ったら、朋美のお母さんが立っていた。
驚いて、あたしは朋美のお母さんに軽く頭を下げた。

「や~ね~そんな改まっちゃって。もっと気楽でいいんだからね」
そう言ってニコッと笑った朋美のお母さん。

「お買い物?」
「はい。お母さんから頼まれて」
「そっか。偉いわね。恵美加ちゃん、これから少し時間ある?もしよかったら、お茶してかない?」

そんな誘いに、少し戸惑ったけど、たいしてこの後予定は入っていなかったから、
「はい」
そう頷いてから、朋美のお母さんに連れて来られた近くのカフェのお店に入った。