「・・ごめん・・」
その言葉しか言えなくて。
あたしは、こんなにも人を深く傷つけていたのだと、酷く痛感した。
「・・わかった」

そして賢斗は悲しいくらいの笑みを浮かべたんだ。

「恵美加、すげー好きだよ。俺、恵美加に出逢えて本当に良かった。恵美加と過ごした時間は、俺にとってかけがえのない時間だったから。恵美加が決めたことなら俺は何も言わない。だから、せめて俺は恵美加の幸せを誰よりも願っているよ」

あたしがもっと大人だったら。

こんなに優しい人を傷つけなくて済んだのかもしれない。

賢斗は、あたしに別れを理由を何一つ聞いてこなかった。
ただ、あたしの気持ちを受け入れてくれたんだ。

賢斗は、あたしにとってもったいなさすぎるよ・・。

どれだけあたしって最低な人間なんだろう・・。
そのことが、すごく痛くて苦しかった。