「・・なんとなく言われることは分かってたんだ。昨日だって恵美加から誘ってくるの、嬉しかったけどなんか別のこと言われるんじゃないかって、そう思った。だから昨日のメールも中々返せなかった。いつも不安だったよ。俺、気づいてたんだ。恵美加は俺のこと好きじゃないって。だから、どうすればちゃんと恵美加が俺のことを見てくれるんだろうって、そんなことばっか考えてた。だけど、そんな方法は思いつかなくてさ。いつも恵美加を抱きしめて、あぁちゃんと恵美加は俺の側にいるんだなって確認してた。そうしないと俺・・すげー不安でさ。初めてだったんだよ、本気で好きになった人。だから、どうしても手放したくなかった。恵美加、俺・・恵美加のことすげー好きだよ。どうしようもないくらい・・」

そして賢斗は、どこか切なそうに微笑んだ。
それを見てるのが苦しくて、あたしは下を向いてしまった。

「・・ごめん。賢斗・・」
あたしの目から、涙が伝っていた。
本当は、今一番泣きたいのは賢斗の方なのに・・。

「謝るなよ。なぁ恵美加・・もう俺達ダメなのかな・・?」
賢斗の目から、光るものが見えた。
だけど、それは一滴たりとも落ちてはこなくて、きっと賢斗が零れ落ちないように耐えているからだろう。