あたしを知らないキミへ

「恵美加、これからよろしくな」
「うん。こちらこそ」

そして、賢斗はあたしを優しく抱きしめた。

「今日、自分の気持ち伝えてよかった」
賢斗は、そう言ったんだ。

賢斗があたしを抱きしめる腕は、強く・・だけど優しかった。
でも、まだどうしても自分から賢斗の背中に腕を回す勇気はなかった。

夏が後少しで終わりを迎える頃・・9月の中旬。
あたしは、賢斗と付き合うことになった。

これからは、アイツじゃなくて賢斗だけを見ていればいいんだ。


そう強く

自分に言い聞かせてーー。