あたしを知らないキミへ

こんなのバカなあたしにだって分かる。
賢斗の話をちゃんと聞いていたら、次に言われる言葉がどのようなものなのか。

珍しい人もいるんだな・・。
こんなあたしを好きになっても、なんの得もしないのに・・。

「あたしと付き合ってもなんのメリットもないよ?」
そして、賢斗はさっきまで下げていた頭を上げた。

「メリットなんて俺には沢山あるんだよ。恵美加が側にいてくれたら、それは俺にとって最高のメリット。俺、初めて恵美加を見た時、あぁ俺この人のこと好きになるんだろうなって思ったんだ。見た目はキツそうなのに、話したら意外と沢山話せて、そんな恵美加と一緒にいるのがすごく楽しかった」

賢斗からの告白に、あたしは素直に嬉しかった。
だけど、賢斗をあたしは異性として見ていなかった。
どうすればいい?
あたし・・まだアイツのことが好きなのに。
忘れられてないのに。

でも、このままずっと苦しむんなら自分を好きでいてくれる人のところにいけば楽になれるのかな・・。
忘れられんのかな・・。

苦しみも、痛みも、悲しみも・・
全部全部・・消えてなくなんのかな・・。

もし・・

そうなのだとしたら・・。

あたしは、、、もう泣かないで前に進める・・?