あたしを知らないキミへ

「恵美加!」
後ろから名前を呼ばれて振り返ったら、賢斗が走ってこっちにやって来る。
「急にさそちゃってごめん。大丈夫だった?」
「全然。今日暇だったし」
「そっか。ならよかった・・」

急に賢斗は、よそよそしくなって何かを考えるように下を向いた。
「ってか用って何かあったの?公園とかびっくりしたんですけど」
「・・用がなきゃ誘っちゃダメだった・・?」
「・・え?」

しばらくあたしは、賢斗が言っている意味が理解できなかった。
「あーーーーー!!」

そして、急に賢斗が空に向かって大声で叫んだ。
さっきから賢斗が何をしたいのか分からない・・。

「もう正直なこと言うよ。俺は恵美加のことが好きだ。初めて会った時から。多分一目惚れ。今日恵美加を誘ったのも意味なんてない。ただ俺が恵美加に会いたかっただけ。そして今恵美加に俺の気持ちを伝えたくなった・・からで・・」

それから賢斗は、しばらく黙っていたけど、一度大きな深呼吸をしてから、
「俺と付き合ってください」
賢斗はあたしに深々と頭を下げてそう言ったんだ。