あたしを知らないキミへ

そんなことを思いながらも
「中条」

あたしはオレンジジュースを飲みながら答えた。
「俺は下島賢斗。よろしく」
「・・どうも」

あたしの向かい側に座る賢斗は、あたしの学校より少し偏差値高めの公立高校に通う人だった。
背は平均より高めで、髪の毛は染めていなくて至って普通の男子。

でも、どこか人懐っこくて明るくて、第一印象は「よく笑う人」だった。

「恵美加ちゃんって運動得意でしょ?」
「恵美加でいいよ。まー運動は好きかな。賢斗は?」
「やっぱりか!俺も!ってか運動しか出来ないけどね」
「あたし達よりも頭のいい学校行ってんのに?なんか嫌味に聞こえるんですけど」
「あははっ。俺達の学校そんなんでもないよ。実際、俺だってスポーツ推薦で受かったから勉強なんて出来ない出来ない」