まだ足が骨折をしていることを忘れていて、走り出そうとして、体のバランスを崩しそうになる潤。 壁に立て掛けていた2本の松葉杖が倒れて床にバタンと音を立てて落ちる。 「あっー、いってー……!」 骨折をしている方の足に強い痛みが走る。 目を固く瞑り顔をしかめる潤。 そんな潤の様子を見て、車の鍵を鞄に入れる潤の父親。 「潤、私が車を運転するから。早く用意をしなさい」 「うん──」と返事をして急いで身支度を始める潤。 潤が食べかけの食パンを口の中に押し込み、父親の後を追いかける。