クリスマスの夜に、ただ一つの願い事を


「ねぇ、この子、覚えてる?」


「あっ、あの時の……」


俺が事故に巻き込まれる前に抱きかかえていた黒い子猫。


「黒い子猫、今お巡りさんが預かってくれているそうよ──」


あの黒い子猫、無事だったんだ。


──良かった。


「あっ、……そうなんですか」


「元気になったら、迎いに行ってあげなよ」


「……えっ……?」


「なんだって、お巡りさんが事故の時、あなたのそばからその黒い子猫を引き離そうとしてもなかなか離れなかったそうよ」


「そうだったんですね──」


そのあと続けて、事故の時の詳しい状況の話も聞いた。


真依が俺を必死にかばってくれていたこと。


そして、車を運転していた夏美が炎上する車の中で亡くなった話。