「…結空ってさ…好きな人とか…いんの?」

「えっ?!」突然話しかけられたから変な声が出てしまった。

「…気になる人とかは?」

「あっえーっと、好きな人って言うか忘れられない人…がいます。」

「そっかあ……それってどんな人?」

俺は聞いたことを後悔することになった。

「それがあまりよく覚えてないんだけど…」

「え?」

「でも、ちょっと泣き虫で世話のやける子だった。そのくせ意地っ張りで、いつもカッコつけたがってた。」

そいつの事語る結空はとっても幸せそうだった。

だからちょっと腹がたったんだ。

「そんなやつのどこがいいの?」

「うーん…あっ自分自身すごく弱いはずなのに、困ってる人を放っておけない所とか!…いつも影で努力してる所とか!あと…私のことはいつでも見つけ出してくれたの」

「へえ〜」

「昔ね、親とケンカして家出した事があって、小さい頃なんて行ける所も決まってるし、私は嫌なことがあるの決まって近くの公園に行ってたの」

懐かしむように結空が語りだした。