「あら美男美女カップルだわ!いいわね〜!」

「あ、いえ違うんでs」私の言葉は遮られた。

「良いのよ、恥ずかしがんなくて〜!羨ましいわ〜!」

「あっ…あの…ほんとに…」

「じゃあお幸せに〜!」

あのおばちゃん全く聞く耳を持ってくれなかった。

そして私たちの間に気まづい沈黙が流れたのは言うまでもない。

レジを通って買い物袋を持とうとした私に
「いいよ、俺が持つ」と後ろから手が伸びてきた。

スっと筋の通った逞しい腕。

ほんの少し触れた指先。

一瞬にして体温が顔に集まった。

「あっあ…あ…ありがとう…。」

これはきっとさっきのおばちゃんが変な事を言うからだ。

だからちょっと意識しちゃってるだけなんだ。

それからも彼はさりげなく車道側を歩いてくれたり、
歩幅を合わせてくれたり、そんな気遣いに私の胸は大きな音を立ててばかりだった。