そう毎朝この一本道には人だかりができる。

他でもない目の前を歩くこの黒瀬依弦見たさに。

無論、私はご存知の通り朝が弱いので今まで1度たりとも目にした事は無かったのですが…

私はポカンと口を開けたまま、凄いオーラで向かって来る黒瀬依弦を見つめていた。

するとパチリと目が合った気がした。

黒瀬依弦は一瞬驚いたような顔をして、少し微笑んだ。

そこで初めて口が開きっぱなしな事に気づいた。

彼はきっと口の空いたままの私を笑ったのだろうと思い、途端に恥ずかしくなり栞菜ちゃんの後ろに隠れた。

ところが私の周りに居た人達みんな目が合ったと騒いでいたので、きっと私では無かったのだろう。

こんなに地味な私では。