月に祈る少女が一人

風はささやく

「なにを祈ってるの?」

「わからない」

戸惑う少女。 

そばに咲く一輪の小さな白い花が問い掛ける

「わからないのに、祈ってるの?」

「うん。祈らずにはいられないの」

少女の閉じた瞳から一筋の涙が······

ナニモワカラナイ

“お願い。どうか──”

まるでなにかの儀式の様に、毎晩少女は繰り返す
すべては闇の中。
ただ月の光が静かに少女を包む