白銀のカルマ

学校も1年ほど休学。

滝川病院で出産後、滝川家から学校に通いながら何とか卒業。

卒業後は出産でもお世話になった滝川病院に看護師として勤務するようになった。

あれから8年。

生まれた息子は『千明』と命名され7歳になった。

出産以降、一度も京塚家の敷居をまたいでおらず当然家族にも会っていなかったが、美鈴と息子、自分の3人で平和に暮らしていた。

そして篤彦ともあの事件以来関わりはない。

たとえ会ったとしても同じ過ちは犯さないと心に決めていたそんなある日のこと。

『ただいま』

彼が帰ってきたのだ。

妻との結婚生活に疲れ別居生活をすることに決めた彼は私達に優しく微笑んだ。

デパ地下のお惣菜ばっかりが並べられた食卓から逃げるように一人暮らしを始めたが体調管理の方がうまくいかず実家を頼ることにした彼はあの頃と一切変わっていなかった。

私の顔を見た時、一瞬強張った表情を見せたような気もしたがそれ以降は何喰わん顔で振舞っていた。

『今、どこの科に勤務してるの?』

『………えっ、産婦人科……です』

『産婦人科か。……俺は外科だからあんまり接点ないな』

『同じところにいても会わないもんなのねぇ』

『そうなんだよ、同じ病院にいても気づかないもんで』

こんな些細な会話ですらまともに目を合わすことも今は出来ない。

以前は見つめ合いながら会話を交わしていたというのに。

私達はギクシャクした関係のまま一つ屋根の下で生活することになった。