白銀のカルマ

『何ですって……!?』

恐れていたことが起こってしまった。

兄との子を妊娠してしまったのだ。

その時は6か月で中絶することは不可能だった。

当然高校生の妊娠など到底世間に公表出来るような内容ではなく扶養されている分際で子どもを育てていくなんて不可能だ。

両親が怒る材料は十分揃っていた。

『妊娠って……あんた恵莉花、高校生なのよ!?子どもが子ども育てられるはずないじゃない!!今すぐにでも堕ろしなさい!!』

『えっ……!?』

母の堕胎を要求する発言に父と兄は困惑したがそれは正論以外何者でもなく言い返す言葉が見つからなかった。

無理矢理産婦人科へ連れて行こうとする母の手荒すぎるやり方に父は恐る恐る口を挟んだ。

『おい、辞めろって……』
『じゃあ、世間にどう説明するつもり!?』

対立し合う夫婦の仲はまるで離婚を決めたあの頃のように険悪になった。

自分を巡って周りの空気が汚染されていくことに堪え兼ねた恵莉花はとうとう自白に踏み切った。

『……もう無理よ。堕ろせない時期なの』

『えっ!?』

『……半年前から生理が来ていなかったのは分かってたけど怖くて言えなかったの。本当にごめんなさい』

隠れて関係を持ち続けてきた兄は当然のこと、女として意識してきた父も手も足も出なかった。

相手の男のことをしつこく聞かれても口を割らない恵莉花の態度に業を煮やした母は怒りに任せて娘を家から追い出した。

しかし何も出来なかった父はその負い目からか美鈴にこの前の事件を表沙汰にしない代わりに恵莉花の身元保証人になるように裏で頼んでくれていた。