白銀のカルマ

「……いますよ。あなたと同じで一人娘が。今年で20歳になります」

「…そうですか。そんなに大きい娘さんが……」

〝昇さん、香織さん。この子を……舞香をよろしくお願いします″

「僕は………若い頃、父を殺した相手を死ぬまで憎み続ける人生になるんじゃないかと思っていました。ですが幼い娘を託された瞬間、そんな気持ちはふっと消えたんです。〝この子のために生きよう″って」

娘が生まれた瞬間同じことを思った安川の目を見ると、大粒の涙が零れていた。

「……自分も娘が生まれた瞬間、廣瀬さんと同じことを思いました……。この子は自分達を頼って生まれてきたんだなぁ……って」

昔、二人は絶対分かり合えない間柄だった。

ひょっとしたら、永遠に憎しみの感情に支配されていたかもしれない。

でも今は二人にも共通点が出来た。

素敵な人と結婚出来たこと。

娘を授かったこと。

「……安田さん」

「……はい」

「うちの父も……喜んでいると思います。今、私達が会話していること……。」

安川がとめどなく溢れる涙をハンカチで拭っていた丁度その時、背後に父の気配を感じた。