白銀のカルマ

〝罪を憎んで人を憎まず″

父は生前、まだ幼かった自分達兄弟にそう言って聞かせた。

しかし、若かりし頃の自分は父の教えに背き初めて〝人″を憎んだ。

『ちょっと君、落ち着いて!!!』

『……殺してやるっ、殺してやるっ……!』

若かりし頃の自分は、法廷で犯人を前にし沸き立つ怒りの感情を抑える事が出来ず、父の教えを忘れ復讐心や憎しみに駆られた自分の行いを後悔して今日まで生き抜いた。

無限に続く苦しみや悲しみの先にある優しさや幸せにたくさん触れたことで、素晴らしい人や出来事に出会うことが出来た。

この年になると、父の言いたかったことが改めてよく分かるのだ。

「おや……?」

父との思い出に浸りすぎたせいか〝先客″がいたことに全く気づかなかった。

墓の前に置かれた小さいぬいぐるみ。

これは母の物ではなさそうだし舞香も香織も兄も考えづらい。

じゃあ一体誰が………?

暫く首を傾げていると、後ろから声が聞こえた。

「パパーっ!こっちこっちー!」

それは幼い子供の声だった。

「待ってくれ」と中年男性の声が後に響く。

後ろを振り返ると、そこには〝あの人物″がいた。