白銀のカルマ

『……お兄ちゃん……?』

そうか。恵莉花が急に面会謝絶になった理由はこれか。

この話を聞いて全ての点と点が繋がった。

俺のせいだ。俺のせいで恵莉花が。

一緒にいたかっただけなのに、どうしてこんな仕打ちを受けなくてはならないのだ。

『お兄ちゃん……もう泣かなくていいのよ。私がいますからね、よしよし……』

滝のように涙を流す兄を胸に抱きよせ、優しく頭を撫でたが彼の怒りが収まるはずがなかった。

『………二度と俺に近寄るな!!!この疫病神!!!』

『……なん……で?』

『……どうして分かんねぇんだよ。……当たり前だろ?……帰れ!!!』

この瞬間、仲の良かった兄妹の関係は一気に修復不可能なものへと変わってしまった。

罵詈雑言を浴びせた後、兄は妹を自室からつまみ出した。

あれだけ兄が涙の訴えをしたにも関わらず、それでも妹はその帰り道、こんな惚けたことをずっと考えていた。

……私のしたことは間違えてたの?

私は……私は兄の為に。家の為に。

駆除したのに。

自分は正しい行いをしたと信じて疑わなかった。

ちょっとやり方は荒療治だったかもしれない。

でも良い効果はあったと思う。

〝何故……兄は笑ってくれない?″

常人には理解できない思考を巡らせながら、ずっと悩み続けていた。

そして今となって若い頃の自分の過ちに頭を悩ませる。

今考えればすぐに浮かぶ答えだった。

でもあの時の自分はどんなに考えても分からなかっただろう。

相手を何も思いやれていなかった……。

それにどんなに悩んでも元には戻らない。

幹枝はうつむき肩を震わせながら、ベッドのシーツを濡らした。