「……舞香、ちゃんとご飯食べてるかな?」
「えっ?」
「最近、電話してないからさ。会いに行こうかな?」
夫の何気ない一言に、感傷的だった香織の意識は現実に引き戻された。
娘の食生活を気にかけているようだが、一通りの炊事洗濯が出来ることを知っていた香織からすると全然心配事がなかった。
おそらく心配しているのは、〝父親″の方だけだと思うと娘思いな昇が急に可愛らしく思えてきた。
「ふっふっふっ……」
「え?なんだよ、急に……」
急に笑い出した香織を見て怪訝そうな表情を浮かべる昇だったが、それでも顔が綻んだ。
チッ、チッ、チッ・・・・・・
秒針の音だけが鳴り響く深夜2:00の病院のベッドの上で、幹枝は若かりし頃のことを一人思い出していた。
兄と恵莉花を引き放すことに成功した後、勇み足でマンションで向かった。
『……お兄ちゃん……好き』
半ば強引に部屋に侵入するや否や、月光が差し込む暗がりの部屋で兄に抱き着くと無理やり口づけをした。
自分はこれだけの意思表示をしたので、当然振り向いてもらえるものだと高を括っていたが、兄は私の腕を振りほどくと、何かを〝吐き出す″ように激しく咳き込んだ。
「えっ?」
「最近、電話してないからさ。会いに行こうかな?」
夫の何気ない一言に、感傷的だった香織の意識は現実に引き戻された。
娘の食生活を気にかけているようだが、一通りの炊事洗濯が出来ることを知っていた香織からすると全然心配事がなかった。
おそらく心配しているのは、〝父親″の方だけだと思うと娘思いな昇が急に可愛らしく思えてきた。
「ふっふっふっ……」
「え?なんだよ、急に……」
急に笑い出した香織を見て怪訝そうな表情を浮かべる昇だったが、それでも顔が綻んだ。
チッ、チッ、チッ・・・・・・
秒針の音だけが鳴り響く深夜2:00の病院のベッドの上で、幹枝は若かりし頃のことを一人思い出していた。
兄と恵莉花を引き放すことに成功した後、勇み足でマンションで向かった。
『……お兄ちゃん……好き』
半ば強引に部屋に侵入するや否や、月光が差し込む暗がりの部屋で兄に抱き着くと無理やり口づけをした。
自分はこれだけの意思表示をしたので、当然振り向いてもらえるものだと高を括っていたが、兄は私の腕を振りほどくと、何かを〝吐き出す″ように激しく咳き込んだ。
