いつも冷静で怒ったことがなさそうに見える香織にも『許せない人物』がいた。
それは実の父・正徳だった。つい最近発覚した『新聞記者殺害事件』に関する手記にはこう記されてあった。
【 私滝川正徳は、父・健正とこの病院の関係者と結託して30人以上の尊い命を奪いました。病院の汚職を内部告発しようとする者、病院の醜聞を記事にしようとする医療ジャーナリスト、新聞記者の殺害に加担した私は罪を償うべきですが、もうそれすらも限界です。先立つ不幸をお許しください。】
この手紙を記した数日後、祖父の愛人に心臓を包丁で一突きにされ、惨死した。
父は狂人から家族を守った英雄として祀り上げられたが、ほどなくして愛人との二重生活が発覚すると、世間はすぐに掌を返してきた。
私達親子は滝川家から籍を抜き、母の実家がある京都に隠居したが、出戻ったことや父の不貞をネタにして噂話を楽しむ低俗な人間のかっこうの餌食となってしまった。
父を許せない一方で、全てを忘れたかった私は子どもながらに父のことを忘却した。
それは実の父・正徳だった。つい最近発覚した『新聞記者殺害事件』に関する手記にはこう記されてあった。
【 私滝川正徳は、父・健正とこの病院の関係者と結託して30人以上の尊い命を奪いました。病院の汚職を内部告発しようとする者、病院の醜聞を記事にしようとする医療ジャーナリスト、新聞記者の殺害に加担した私は罪を償うべきですが、もうそれすらも限界です。先立つ不幸をお許しください。】
この手紙を記した数日後、祖父の愛人に心臓を包丁で一突きにされ、惨死した。
父は狂人から家族を守った英雄として祀り上げられたが、ほどなくして愛人との二重生活が発覚すると、世間はすぐに掌を返してきた。
私達親子は滝川家から籍を抜き、母の実家がある京都に隠居したが、出戻ったことや父の不貞をネタにして噂話を楽しむ低俗な人間のかっこうの餌食となってしまった。
父を許せない一方で、全てを忘れたかった私は子どもながらに父のことを忘却した。
