白銀のカルマ

 この日の夕食は喉が通らなかった。

会話を盛り上げようと思っても、すぐに無言になってしまう。

そのせいで何度も夕食の席が静まり返った。

この嫌な空気を何とか解消しようとしたが、言葉は見当たらない。

でもあんな話を聞いた直後に、談笑出来る人などいるのだろうか?

いくら小娘が起こしたこととはいえ、あれは重罪だ。

夫妻はこれからあの事実とどう向きあえばいいか、分からなくなっていた。

痺れを切らした妻は戸惑う夫の心中を察し口火を切った。

「………私もね、今日あの話を聞いて驚いたわ。軽蔑してないって言ったら嘘になる。………でもね、なんか分かる気はするの。お兄さんに本当べったりだったから。妹ってね、小さい頃に〝お兄ちゃんと結婚するー!″って言ったりするじゃない。幹枝さんの場合…あれは〝本物″だったのよね」

 夫婦は幹枝の〝行い″について軽蔑していた。

当然、罪のない人を傷つけることは許すまじ行為だが、香織は幹枝の『気持ち』や『立場』を深く理解していた。

「………本当、ママの言う通りだよ」