白銀のカルマ

「幹枝さん、大丈夫?」

「香織さん、昇さんも。来てくれてありがとう」

 幹枝が倒れたと言う報告を受けた夫妻は後日、彼女の病室を訪れた。

丸1日は意識が戻らなかったが、検査をしても何の異常もなく、翌日には普通に食欲もあったので6日位様子を見て退院だと言う。

「よかった。何も異常がなくて」

「本当心配かけてごめんなさいね」

「大変だったわね。優一くんもいない中で」

「……え?一緒に住んでるけど」

「あらそうなの?でも家にここ数日間いなかったわよ。ねぇ、あなた」

「あぁ、そうだね」

見舞いに来ることを事前に知っていた幹枝は、うちに泊まっていけば良いと二人に提案したが、誰も家にいないことを知りそれどころではなくなった。

「冗談はよしてよ……」

「いや、本当にいないわよ?」

「帰ってきた気配もなかったよ」

そういえば昨晩、ヘルパーが病室にやって来た。
あんなことをした本当の理由は言えなかったが、雇用も含め今後のことを色々話した。

『…ごめんなさい。千明さんには感謝してるんだけどもうこれ以上雇うのは無理なの…』

『………分かりました』

『…私が退院するまでになるけど…よろしくね。本当今までありがとう』

失業し住む家も失くし、困り果てていたヘルパーの千明は再び職を失った。

今回も自分の責任ではなく、全て幹枝側の勝手な都合だった。

活気を失い終始無言だったが、あの虚ろな目は何か言いたげだった。

いくら正気ではなかったとは言え、他者に危害を加えようとしたことは事実だ。

息子を人質に取って報復されるのではないかと思うと、血の気が引く感覚があった。