白銀のカルマ

 父親と絶縁した後、田舎で医者をすることを交換条件に遠くに住む祖父母に頼んで学費を出してもらうことになった。

けれど現実はそんなに甘くなく、バイトなしでは生活は苦しかった。

塾のアルバイトではかなり優遇はしてもらえたが、僅かな優越感だけで日々の虚無感が消えるはずもなかった。

亡くなった恋人を忘れるために男娼の仕事も同時に始めたが、日ごろの鬱憤を忘れられるのはそれでも一瞬しかなかった。

「……汚いことにも手を染めながら何とか大学を卒業して今の職に就いたわけだけど……」

 親父と音信不通になって5年の月日が過ぎたある日のこと、音信不通だった弟から突然電話がかかってきた。

『……父さんが会いたがってるんだ』

医者が匙を投げるほどの末期がんを患い、床から立ち上がることもままならないほど弱った親父は今更ながら俺に会いたいと願っていた。

正直父の顔など死んでも見たくはなかったが、それでも吸い寄せられるように病院へ向かった。

『……翼か……?』

 管に繋がれた父の姿は、かつての姿を感じさせない程、弱っていた。

自らの死期を悟っていたのか、今まで誰にも謝罪することがなかった父が息子の服の袖を掴み、必死に許しを乞うた。