白銀のカルマ

『キャッ……!』

父の歯は折れ鼻から血が吹き出した。

血の惨劇に悲鳴を上げた彼女は助けを乞うように視線をこちらに向けたが父同様容赦するつもりはなく恋人・神崎弥生の腕を力任せに掴むと荷物と一緒に玄関から放り出した。

『水森くん…っ!待って、話を聞いて…!』

話を聞いてほしいと何度も懇願されたが腕に絡みつく弥生の腕を力任せに振り払うと心無い罵声を浴びせた。

『………帰れ。あばずれ。』

『………ッ!』

『俺の前に姿を現わすな!』

話をろくに聞いてももらえず激しく罵倒された神崎弥生は泣きながら水森家を後にした。

自分達の関係が不健全であってもあんな仕打ちだけは絶対許せなかった。

女の泣く顔なんて二度と見たくなかったのに俺はまた自分の失態で『女』を泣かせてしまったと深いため息をついた。

出来ればこの時、全ての世界を遮断したい気分だったのにそんな気持ちとはおかまいなく追い打ちをかけるような〝最悪の出来事″が起きた。

キキーッ。

『!?』

『大丈夫か!?』

家の前の歩道からブレーキ音と大声が響く。

靴も履かずそのまま家から飛び出すと数m先には電信柱とひしゃげた車体が見えた。

『誰かー!救急車―っ!』

『……や、弥生……』

すぐさま救急搬送されたが不運なことに神崎弥生はそのまま亡くなった。

あぁ俺のせいだ。

俺があんな捨て台詞吐かなければ彼女は死なずに済んだかもしれない。

でもどれだけ反省しても後悔しても彼女は戻ってこない。

俺は〝全て″を忘れるため何も告げず家族の前から姿をくらました。