白銀のカルマ

『だから私は……これくらいの罰を受けても仕方ないと思っています。でもこのままだと、どうにかなってしまいそう……』

息子より母親の方が病んでいるという印象はあったが、まさかここまで根が深いとは思ってもみなかった。

優一や恵莉花からすると、たまったものではないと思うが、水森もかつての経験から幹枝の言い分も分からなくなかった。

チッ、チッ、チッ……。

「……あ、もうこんな時間か」

考え事を一旦中断した時、ふと目をよそにやると壁に掛かった翁の面と視線があった。

自分で設置しておいてこんなことを言うのは何だが、心底気持ち悪かったため、
その面の頭上にある掛け時計に意図的に視線をずらした。

「もう、3:00か……」

それとほぼ同時に、カレンダーも目に入った。

もう2月20日なのか。あと3日で父も一回忌か。

翼は父と弟の間に起きた『トラブル』を思い出した。

弟に自分の気持ちを理解しろと言っても限界があるように、優一に幹枝の気持ちを理解するのに限界があるのは考えなくても分かることだった。

自分と父のように、親子間の軋轢を生まないようにするにはどうすれば良いか。

すぐに答えが出そうにないのでそれぞれが直面する〝家族″の事情について少しだけ考えた後、酒の力によって深い眠りについた。