白銀のカルマ

どうやら背に腹は代えらない状況のようだ。

精一杯の努力はしているらしいが、一番の問題は〝ある症状″が定期的に襲ってくるということ。

これが続く限り平和は訪れないらしい。

「……ある症状……?」

「…主に昔見たもののフラッシュバックですね。幻視もあります。あと顔が歪んで見えたり……私を罵倒してくる声が聞こえてきたり……」

それは、平凡な日常の中で頻繁に起こると言う。

特に、ヘルパーと関わる時、そのおかしな現象に見舞われる。

『……奥様?どうかなさいました?』
『……母さん?』
『いいえ、何も……』

症状は一瞬だけなのだが、これがかなりの恐怖だったりもする。

どうしても精神的苦痛が大きいのであれば、ヘルパーを解雇することも念頭に入れているが、かかる負担が今まで以上に大きくなるだけなので現実的な案ではなかった。

「……本当にどうすればいいんでしょうか。もう私には何も分からない……。」

水森はクライアントの抱える問題を把握することは出来たが、内容が内容なだけにすぐさま的確な答えを出すことは不可能だった。

〝少しずつ考えていきましょう″と、不確かな約束だけ交わすとその日のカウンセリングは幕を下ろした。