「…あの琥珀色の綺麗な目…」
「え?」
「息子も琥珀色の目をしているんです。あの目とあっただけで、あの女を思い出します。普段はそう思わないようにしていたんですが最近になってノイローゼ気味になってしまって……」
実際、角膜の移植手術で目の色が変わるという症例は耳にしたことがない。
優一の近しい身内にも琥珀色の目をした人間はおらず、それを考えると薄気味悪くて仕方なかった。
「……後、あいつが私達の生活を盗み見したり盗聴するから……」
稲倉からずっと監視されていたことに気づき、〝視線″への恐怖が以前よりひどくなってしまった幹枝。
良い環境になった今でも視線が怖く、買い物もままならないと言うのに追い打ちをかけるかのように息子の人格分裂が高頻度で起こるようになった。
最近では、優一の中に恵莉花が宿っていると考えただけで、保っていた精神の均衡が崩れノイローゼを発症してしまう。
「……最近息子にヘルパーをつけたんですけど……」
「……けど……?」
「……それが恵莉花の息子なんです」
出来ることなら死ぬまで視界にいれたくなかったが、私達は知人の墓参りで望まぬ邂逅を果たした。
挨拶だけしてすぐに別れるつもりだったのに、やけに親しく話しかけてこられたせいで簡単に無視できなかった。普段なら軽くあしらうようなことでも、あの時だけは人との温もりに飢えていたのか、失業したことで住む家を失い、路頭に迷っていた彼に同情心を抱き、勢いで住み込みのヘルパーとして拾うこととなった。
「……もう藁にも縋る思いでして……、本当……」
「え?」
「息子も琥珀色の目をしているんです。あの目とあっただけで、あの女を思い出します。普段はそう思わないようにしていたんですが最近になってノイローゼ気味になってしまって……」
実際、角膜の移植手術で目の色が変わるという症例は耳にしたことがない。
優一の近しい身内にも琥珀色の目をした人間はおらず、それを考えると薄気味悪くて仕方なかった。
「……後、あいつが私達の生活を盗み見したり盗聴するから……」
稲倉からずっと監視されていたことに気づき、〝視線″への恐怖が以前よりひどくなってしまった幹枝。
良い環境になった今でも視線が怖く、買い物もままならないと言うのに追い打ちをかけるかのように息子の人格分裂が高頻度で起こるようになった。
最近では、優一の中に恵莉花が宿っていると考えただけで、保っていた精神の均衡が崩れノイローゼを発症してしまう。
「……最近息子にヘルパーをつけたんですけど……」
「……けど……?」
「……それが恵莉花の息子なんです」
出来ることなら死ぬまで視界にいれたくなかったが、私達は知人の墓参りで望まぬ邂逅を果たした。
挨拶だけしてすぐに別れるつもりだったのに、やけに親しく話しかけてこられたせいで簡単に無視できなかった。普段なら軽くあしらうようなことでも、あの時だけは人との温もりに飢えていたのか、失業したことで住む家を失い、路頭に迷っていた彼に同情心を抱き、勢いで住み込みのヘルパーとして拾うこととなった。
「……もう藁にも縋る思いでして……、本当……」
