白銀のカルマ

「……問題はここからなんです……」

「えっ?」

「……何度後悔したか……分かりません。何であの時、私は二人を引き合わせてしまったんだろう……って」

「二人……?」

「えぇ、兄と恵莉花を」

 自分は愚かだった。

兄妹である自分達が結ばれないことくらい分かっていたはずなのに、兄を本気で愛していた。

兄も人を愛して当然のはずなのに、自分は兄の幸せを素直に祝福することをできなかった。

祝福するどころか……それを壊した。

兄の大切な人のことも……人間関係もこれまでの信頼も全部。

「…恵莉花にした仕打ちが…今頃になって全部跳ね返ってきてるんじゃないのかと思うんです」

「どういう意味ですか……?」

彼女の生い立ちは散々聞かされたので、大体理解しているが恵莉花と言う人物との確執と息子への畏怖の念がどう絡んでくるのか全く釈然としなかった。

一体その『仕打ち』とはどういうものなのか聞き返したものの、ろくに答えることもなく、話題が大幅に飛んだ。

「あの子の角膜は元々彼女のものだったんです。」

「?」

優一は、幼少期に目の病気で視力を失いかけたことがあったと言う。

角膜移植手術により無事視力を取り戻したのだが、そのドナーは幹枝の因縁の相手である恵莉花のものであることが後に発覚したのだ。

外科医ではないのであまり詳しいことはよく分からなかったが、ドナーの細胞の記憶がレシピエントの中で根付くことがあると言うのはかつて知り合いから聞いたことがある。

言いたいことはおそらくこのことなのだろうと察した。