白銀のカルマ

「………だから前から言ってるじゃない。私が彼を殺そうとした理由。愛してたから死んで自分だけの物になって欲しかったの。……刑事さん愛ってね〝狂気″に変わる瞬間だってあるのよ」

さっきまで鋭い眼光で取り調べを執り行っていた刑事だったが、不気味にほほ笑む稲倉の狂気じみた笑顔を見た途端、慄然とした。

「あなたにそれが想像できるかしら?」

恐れる理由など何もなかったはずだが、何故か動くことが出来ない。

その後も稲倉の取り調べは続いたが、明らかに普通の犯罪者とは違う異様さを漂わせていた。

この一連の事件はお昼のワイドショー、ニュースやメディアに大きく取り上げられ、彼の犯行手口、歪んだ愛情、性愛は様々な観点から分析され色んな評論を受けた。

中には『彼は自己愛性人格障がい者だ』や『両親が彼に無関心だった』など、事件を起こした動機と彼の内面や家庭環境を無理矢理関連付ける者もいた。

インパクトの強さからか、このニュースは連日取り上げられ、加害者だけでなく被害者である自分まで見世物となってしまった。