白銀のカルマ

何故傘を持ってこなかったのだろう。不幸にも雨が降り始めた。

夕立なのですぐに止むだろうが、よりにもよって丸腰で外に出た時に、こんな事態に見舞われるのだと己の不運さを呪った。


「あぁっ!……嘘でしょう。」

次は追い打ちをかけるように、携帯のストラップが千切れ地面に落ちる。

しかもそれは、優一が小学校の修学旅行の土産として、プレゼントしてくれたものだった。

結構な量の雨に打たれながらその場で自転車を留め慌てて拾い上げると再び自転車のストッパーを外し
家を出た時以上に勢い良くペダルを踏み込む幹枝。

必死の思いで家路へと向かったが自宅に着く頃には、雨もやみ、さっきのどんよりした空気は嘘のように
消失していた。

そして無心で漕いでいた為か、家路までの時間は思ったよりも時間がかからなかったような気がした。

しょうもない噂話にいちいち耳を貸していたら精神が乱されるだけ。

どれだけ乱れても、誰も責任など取ってくれやしないのだから。

〝無心″になればあまり疲弊しなかったことに気づいた幹枝は、これから何が起きても動じないと決意した。

早速無心でポーチから家の鍵を取り出し、家の玄関を開けようとした時だった。

ある〝異変″に気付いてしまう。