白銀のカルマ

 取っても取ってもすぐ切れる、一日に何回も鳴り響く電話。

〝出ていけ犯罪者家族″、〝殺人犯″、〝早く警察に自首しろ″。

電話口で相手が喋る内容はこの3つに絞られていた。

録音した音声を警察にも提出したが、警察の動きが全く見えない。

おそらく収集がつかないほどの量なのだろう。

相手にすること自体が馬鹿馬鹿しい低俗な野次馬の仕業であるのは、頭では理解していたが、幹枝は向精神薬がないと
生活が出来ないくらい追い詰められていた。

優一は世間の心ない攻撃がトラウマとなり、あれ以来容易に外出出来なくなってしまった。〝嫌がらせ″による弊害は
精神的苦痛だけでなく、確実に実生活にも支障をきたしていた。

家に書かれた中傷落書きやビラのせいで、近所の人は誰も寄り付かず、勤めていた幼稚園にも〝園児にもしものことが
あってはいけない″と言う理由で体良く解雇されてしまった。

今は失業保険やバイトで食いつないでいるが、いつまでもこんな生活が続くはずない。
そう分かっていても親子二人はこの劣悪な環境下でひたすら耐え続けるだけだった。