白銀のカルマ

「母さんは悪くないよ……」

小学生以来だろうか。

今日は一向に寝付けなかったので年甲斐もなく母と一緒の布団で寝た。

引きずるものかと思えたが割と早く起きることができ、セミの抜け殻のような生暖かい布団に母の体温があると思っただけでも、十分安心できた。

「……元気だなぁ」

僕もこうしちゃいられない。

一日中家にこもっていたら体がなまってしまう。

たとえ、聞こえるような悪口を言われても。

たとえ、視線が気になっても。

たとえ、店員の対応が悪くても。

たとえ、暴力を振るわれても。

僕は外に出ようと決心した。

あんなショックな出来事が立て続けに起こったのになんで決心できるかって?

おそらくショックを受けることなんてこれから先もあるだろう。

ショックな出来事にいちいち足止めを食らってる場合ではないのだ。

「よし、手始めに公園まで散歩するか」

優一が元気よく散歩する道の傍らには、一輪の花が咲いていた。

僅かに雪は残っていたが、ほとんど融け落ち、花は元気な顔を見せていた。

小さくても凛と咲く花を見ていると、自ずと前向きになる事が出来た。

今後、朽ち果てる運命があることを一切知らなければ。