白銀のカルマ

「あんた、何してんの!!?」

居間を開けた母は、大声を上げ卒倒した。

息子から無理やり引きはがすと、稲倉の頬をあの時以上に強く叩いた。

稲倉が痛みで怯んでいるその隙に、近くにあったロープ等で手足を強く縛ると、拘束した状態で警察に突き出した。

「優一!?大丈夫!?」

「……うん、怪我はないよ……」

今回は母の逞しさの完全勝利だった。

僕ならあのまま、何も出来ず彼に体を明け渡していたことだろう。

やはり母は頼もしいと改めて実感するとともに、今回のことで完全に僕の敵となった。

どんな理由であれ、あのような行いは許されない。

〝屑″の所業だ。

けれど警察に連れていかれたので、きっと大丈夫なはず。

これ以上何かしてくることはないだろう。

そう高を括っていた。

「………私がいればこんなことにならなかったはずなのに………」と母は息子を抱きしめ涙を流す。

 一切落ち度はないのに、母は僕の身に起きた不幸を自分のことのように悲しんでくれた。