白銀のカルマ

「……先日、働いてた子が辞めちゃってね。それに正臣もいなくなっちゃったでしょ」

「………ッ!」

〝正臣″という名前を聞いて、動きが止まる。

出来れば暫く聞きたくなかった名前だ。

でも僕は背負っていなければならない。

そもそも僕がすぐにばれるような嘘をついて、あの店で働いたりしなければ母が乗り込んでくることもなかったし
先生と正臣さんの仲がこじれることはなかった。

正臣さんが自ら命を絶つことも、そもそも僕と出会うこともなかった。

「でね、優一くん。うちの店でまた働いてみない?」

「……え……?」

「……次こそはお母様も認めてくれると思うのよ。だって生活も大変でしょ?」

先生は細かい所まで見透かしていた。

確かに僕らは今の生活に難儀している。

僕の収入があれば少しは〝楽″になるだろう。

けれどそれでも僕はあの悲しい思い出が詰まった店で、再び働こうとは思わなかった。

僕は先生の気持ちも汲み取りつつ、丁重にお断りしたつもりだった。