白銀のカルマ

「いってきます。」

「お財布は?携帯は?持った?」

「あはは。もう気にしすぎだって。全部持ってるよ」


毎度繰り返される些細なやりとりの後、母は目の不自由な息子を送り出したと同時に家事の続きを行った。

海の近くに家があるせいか、洗濯物を干している時にふいに香る磯の香りが好きだ。

心地よい香りに包まれながら爽快な気分で普段通り洗濯物を干していた時だった。

「奥野さん……?」

「……あ……!」

「ご無沙汰しております、英(はなぶさ)です」

「英さん……!」

後ろを振り返ると、あの一連の事件の終止符を打つ手助けをした英氏が立っていた。

「お久しぶりです」

「……いや近くまで来たので。久々に顔を見たくなって……。息子さんはお元気ですか……?」

「今、出かけております。帰ってくるまで中で…待っていてください。」

「あっ、いや。おかまいなく。ちょっと顔を見たくなっただけなので」

仕事で近くを通りかかり寄っただけだと、出来る限り気を遣わせぬよう丁重に断る英だったが優一に会えなかった口惜しさを滲ませたその時だった。

ポツッ。