白銀のカルマ

玄関の段差を気にする女性に優しくエスコートされながら、一緒に家から出てくる姿が真っ先に目に飛び込んだ。

「優一さん今日は天気もいいわね。遠くまでお散歩に行きましょうか」

「そうだね、そうしよう」

あんな悲惨な目にあったと言うのに、それを微塵も感じさせない明るさで普通に彼女と会話する彼。

しかしその焦点はどこにも合っておらず、あの身に覚えのあるぎこちない歩き方にどこか危うささえも感じた。

理不尽な2つの出来事で、彼は歩くことの自由とこの世のありとあらゆる光を全て失った。

一つは自分が犯した罪。

絶対この現実から逃げてはならない。

そのはずだったのに、脆弱なこの精神はそれに耐え切れず半ば取り乱した状態でその場から逃げ出した。

「はぁっ、はぁっ、はぁっ………」

行く当てもなく彷徨い続けた末、柄にもなく太陽光が反射し美しく輝く海辺まで来ていた。

ますます惨めになるのは分かっているのに、何故か海辺の方へ歩いて行ってしまう自分。

ザー。ザー。ザー。

けれど今にも堰を切りそうなこの感情は、引いたり寄せたりを繰り返すこの波にどこか似ていた。

そんなことは今はどうでも良い。

全部俺のせいだ。

俺が奪ってしまった。

俺のせいで失ってしまった。

会わせる顔がないのは分かっている。

会いたいと思う資格がないのは十も承知だ。

例えそうだったとしても、あの愛しい姿をこの目に焼き付けたかった。