〝私、この子達のお母さんになりたいの。″
これが生まれて初めてのプロポーズの言葉だった。
容姿や経歴でしか他人の価値を図れなかったかつての自分からは想像できないような一言がある時飛び出た。
正直、前と同じく玉砕すると思われた。
しかし、今回は違った。
〝ありがとう……。嬉しいよ。幹枝さん″
こんな惨めな私に光を与えてくれたその人の顔は綻び、涙で目を潤ませながら快諾してくれたのだ。
人の『心』とは何か……、教えてくれた二人の子宝を守ることなど造作もないことだ。
大学生の頃、彼からピアノの指導を受けていた私は友人らと共に彼が出演するコンサートを見に行ったのを機に人生が劇的に変化した。
『…………ッ!』
妻・琴音さんの透き通る混じり気のない真っすぐな歌声と聡一さんが奏でる神々しい旋律。
気高く美しく壮大な自然を連想させるようなあの崇高な時間を忘れられない。
彼らの音楽だけでなく彼らそのものを愛していたのかもしれない。
3年後、職場で運命の再会を果たした時、妻を亡くし悲しみに打ちひしがれながらも前向きに育児を頑張る真っ直ぐな彼の姿を見守るうちに、一保育士という立場を超えた使命を感じるようになっていた。
翌年、異動が決まり音信不通となったのだが、異動した先の保育所は奇しくも彼らの家の近所だったのだ。
運命の赤い糸は本当に存在するのだと思うほど、私達は急速に距離を縮めた。
"…幹枝さん子供達をよろしくお願いします"
"……聡一さんっ……!"
けれど結婚から半年、末期の癌に冒された彼は治療の甲斐もなくそのまま帰らぬ人となった。
娘を自分の下で育てることは叶わなかったものの、息子を人として音楽家として立派に育てる上げるチャンスは神様からの授かり物だと思うようになり、私はこの日から子供に己の人生を捧げることを新たな使命とした。
これが生まれて初めてのプロポーズの言葉だった。
容姿や経歴でしか他人の価値を図れなかったかつての自分からは想像できないような一言がある時飛び出た。
正直、前と同じく玉砕すると思われた。
しかし、今回は違った。
〝ありがとう……。嬉しいよ。幹枝さん″
こんな惨めな私に光を与えてくれたその人の顔は綻び、涙で目を潤ませながら快諾してくれたのだ。
人の『心』とは何か……、教えてくれた二人の子宝を守ることなど造作もないことだ。
大学生の頃、彼からピアノの指導を受けていた私は友人らと共に彼が出演するコンサートを見に行ったのを機に人生が劇的に変化した。
『…………ッ!』
妻・琴音さんの透き通る混じり気のない真っすぐな歌声と聡一さんが奏でる神々しい旋律。
気高く美しく壮大な自然を連想させるようなあの崇高な時間を忘れられない。
彼らの音楽だけでなく彼らそのものを愛していたのかもしれない。
3年後、職場で運命の再会を果たした時、妻を亡くし悲しみに打ちひしがれながらも前向きに育児を頑張る真っ直ぐな彼の姿を見守るうちに、一保育士という立場を超えた使命を感じるようになっていた。
翌年、異動が決まり音信不通となったのだが、異動した先の保育所は奇しくも彼らの家の近所だったのだ。
運命の赤い糸は本当に存在するのだと思うほど、私達は急速に距離を縮めた。
"…幹枝さん子供達をよろしくお願いします"
"……聡一さんっ……!"
けれど結婚から半年、末期の癌に冒された彼は治療の甲斐もなくそのまま帰らぬ人となった。
娘を自分の下で育てることは叶わなかったものの、息子を人として音楽家として立派に育てる上げるチャンスは神様からの授かり物だと思うようになり、私はこの日から子供に己の人生を捧げることを新たな使命とした。
