白銀のカルマ

『昨夜未明、上総野市のショッピングモールで男性が鋭利な刃物で刺殺されると言う事件が発生しました。被害者は、市議会議員秘書の高見沢貴成さん(25)で、高見沢さんを刺した田宮喜和子容疑者(54)もその場で死亡が確認されました』

このニュースを聞いた瞬間、体中の血の気が引いていく感覚があった。

田宮をいたぶり死に追いやった人物の一人が、その母親によって殺害されたのだ。

尋ねて来た時、雰囲気は確かに暗かったがあの母親から何かを仕出かす危うさは、一切感じなかった。

違うよな?人違いだよな?

そう思いたかった。

でも流れてくるニュースを何度見返しても、田宮の母が加害者と共に無理心中したのは紛れもない事実だった。

時間が経つにつれ、犯した罪に心を蝕まれていく自分。

二度も人を見殺しにした自分が医者などを続ける資格があるのか、と自身の存在意義を問い始めてから犯行を企てるまでにそう時間はかからなかった。

忘却するという手も自分には残されていたが、強い罪悪感を拭うことは出来ず、そのけじめとして大叔父から受け継いだこの病院を畳むことに決めた。

そしてそれから数日後、俺はハンマーを握りしめ外へ飛び出した。