白銀のカルマ

「…………グッ…………」

「!?」

ボタッ、ボタッ、ボタッ………

鮮血が床に滴り落ちる。

幹枝の心臓が一突きにされたと思い、一同は目を覆ったが、実際は違った。

「千明さんっっっ!!!」

「あ、あぁ………」

千明は、かつて自分に狂気を向けた人物を己の手の平だけで守ったのだ。

滴り落ちる鮮血を見て正気に戻ったのか、わなわな震えながら刃物を地面に落とす美幸。

手が血まみれになった千明に駆け寄り、怪我の状態を確認する一同。

傷はそれほど深くなかったが、この中で看護の知識を持つ者は一人もいなかったため、処置に四苦八苦するだろうと予想されたが、ここで意外な人物が能力を発揮することになる。

「…えっ、優一くん?」

早急に救急箱を受け取ると、慣れた手つきで千明の応急処置を進める優一。

大まかな救護の仕方しか知らない幹枝は、いつこんな技術を優一が習得したのか全く心当たりがなく終始首を傾げるばっかりだった。

「……痛くない?」

「…ん、多少痛むけど…。刺し傷もそんなに深くないし………」

皆の目に映った優一の姿は音楽家の姿ではなく、最早看護師だった。

手慣れた素早い処置をする優一に意外な人物が『質問』をぶつけた。