白銀のカルマ

『………幹枝。こんなこと辞めようよ』

『何言ってんの!?さっき協力してくれるって言ったじゃない』

『……ダメだよ……。こんなこと……犯罪だよ……』

『………ここまで来て何言ってんの!?』

一緒に中傷ビラを電信柱やブロック塀に貼るよう強要したが、難色を示す恵。

曖昧な反応をした自分の態度に罪悪感を覚え何とか辞めさせようと説得を試みるも、とある〝パワーワード″を浴びせられ絶句する。

『私に逆らったらどうなるか分かってるわよね?おじい様に頼んであんたのお母さんのことクビにするから』

『そ、そんな……』


「…俺もまさかあんな場面に出くわしちゃうとはなぁ」

反論出来ないくらい樋渡の記憶は鮮明で正しく、今すぐここから逃げ出したい程だったが、歯を食いしばり拳をぐっと握りしめる以外何も成す術はなかった。

昔なら嘘をつくことなんて造作もないことだったが、今は違う。

「嘘……嘘でしょ、幹枝さん……。ねぇ、嘘って言って!?違いますよね!?」

「………ッ」

人の親として、天に背く生き方なんて出来ない。

良心の呵責に苛まれた幹枝は覚悟を決め、ゆっくり首を横にふった。