白銀のカルマ

「あの……樋渡さん?はじめまして」

「……誰だ?」

「……私は滝川正徳の娘の廣瀬香織と申します」

「…お前…正徳の……」

「……父が随分とお世話になったようで」

樋渡は香織の顔を見た途端、何故か背筋に電流が走る感覚を覚えた。

貸しを作り殺人に加担するよう無理やり服従させたあの男にどこか面影のあるこの女。

柔らかい物腰と穏やかな話し口調は、正徳だと錯覚するほどそっくりだった。

でも正徳とは違い凛とした印象すら覚えた。

「私はあなたを断罪しようなんて思ってません。ですが真実を教えて欲しいんです。英さんの叔父様を殺した日、一体父とどんなやり取りをしたんでしょう?父はどんな人物だったのかそれだけでも…」

遅ればせながら自己紹介をするといきなり父のことについて真剣に質問し始めた。

自分を断罪する気満々だった幹枝、自分の知られたくない過去を晒上げる英と違いただ純粋に父について知りたいという香織の真っすぐな視線や想いから目を逸らすことは出来ず噤んできた口をようやく開いた。

「……正徳か。あいつは良い奴だったよ。優しくて他人第一で……。自分から人を殺めるような人間じゃなかった。ただ臆病だっただけだ。篤彦みたいに一人で勢力に立ち向かうようなそんなタイプじゃなかった」

父は優しかった。ただ父は臆病だった。

権力に屈し人殺しを嫌だと言えなかった。

断れなかった。

人を助ける仕事であるのにも関わらず罪のない人を何人も殺めると言う大罪を犯した。

そしてこの男と暫くの間、結託し病院に関わる醜聞を揉み消し続けた。

「………それを利用して………正徳の目の前であの新聞記者を殴り殺して………」

〝今日から運命共同体だな″