「これは動かぬ証拠ですねぇ」
「……何故これが……」
「……母は生前からあなたのことを不審がってた。自分達や滝川家の繋がりをまるで運命のように話していたけど、それでもあなたを『信用』しなかった。あなたを疑った母は祖母の形見であるブローチに〝盗聴器″を仕込んだ」
「………ッ」
「屋上であなたとうちの母がやり合う声が聞こえてたみたいだけど、それだけじゃ全然証拠にならなかったもの。……母に感謝しないと」
佐竹恵の母は、滝川家の使用人だった。
美鈴から絶大な信頼を受けていた佐竹は、他人でありながらも唯一『あの事件』の全貌を教えられた上でこの鍵を託されていた。
「大奥様がどれだけのことを知っていたのかは知りません。でも……」
美鈴は自分の父や弟が犯した罪と向き合い、被害者の命と一人で向き合いながら苦しんだ。
これ以上犠牲者を出さない為に世間に公表し、白昼の下に晒すことが正しかったのかもしれない。
けれど美鈴は自分の子や孫が何も知りもしない野次馬に危害を加えられることが、何より耐えられなかった。
身勝手ではあるが、美鈴は自分の愛する家族の末永い幸せと平和の方を優先した。
「……何故これが……」
「……母は生前からあなたのことを不審がってた。自分達や滝川家の繋がりをまるで運命のように話していたけど、それでもあなたを『信用』しなかった。あなたを疑った母は祖母の形見であるブローチに〝盗聴器″を仕込んだ」
「………ッ」
「屋上であなたとうちの母がやり合う声が聞こえてたみたいだけど、それだけじゃ全然証拠にならなかったもの。……母に感謝しないと」
佐竹恵の母は、滝川家の使用人だった。
美鈴から絶大な信頼を受けていた佐竹は、他人でありながらも唯一『あの事件』の全貌を教えられた上でこの鍵を託されていた。
「大奥様がどれだけのことを知っていたのかは知りません。でも……」
美鈴は自分の父や弟が犯した罪と向き合い、被害者の命と一人で向き合いながら苦しんだ。
これ以上犠牲者を出さない為に世間に公表し、白昼の下に晒すことが正しかったのかもしれない。
けれど美鈴は自分の子や孫が何も知りもしない野次馬に危害を加えられることが、何より耐えられなかった。
身勝手ではあるが、美鈴は自分の愛する家族の末永い幸せと平和の方を優先した。
