白銀のカルマ

「…うちの母はひどく落ち込んでたよ。改心したと思っていた夫と溺愛していた息子に騙され続けて………」

ホームレスの話を整理すると、長年母は夫の不貞に苦しめられてきたが、夫は娘の事故死の後、まもなくして自殺したらしい。

「……当然の報いだ……。父も私も。私があんなことを話したりしなかったら、母は完全に壊れなかったのに。どうしてあんなことを言ってしまったんだろう」

「壊れる……?」

「……私が妹との関係のことを喋ったりしたから母は……」

『………嘘でしょう……?』

『………嘘じゃない』

ホームレス曰く、今日と同じ土砂降りの日に〝とんでもない″告白をしたのだと言う。

本人がとんでもないと言うだけあって、本当に洒落にならない内容だった。

『……ね?嘘よね?あの子が誘ったのよね?』

『何か言ってよ!!!』

若かりし頃のホームレスのスーツの手首の袖を掴み、何度も何度も揺さぶった。

それは、妹の葬式の時の出来事であった。

『………違う。………俺が誘ったんだ』

『………でも最終的にこの子が………その誘いに乗ったんでしょう?』

妹に男を虜にするような艶めかしさがあったことは、否定出来ない。

しかし、男性に媚びを売っていたわけでもなく、自然とそういった色気を漂わせていただけで、本人に何の落ち度もなかった。