白銀のカルマ

(……全く、どこへ行ったんだ……)

外は土砂降りだったが濡れることなんて一切気にならない。

今は香織が無事であるかどうかだけだ。

キョロキョロと辺りを見回す昇。

(……参ったな、見当たらないぞ……)

今から30分前、火葬場につき一昨日亡くなった母・和歌子の告別式が身内だけでしめやかに営まれた。

顔色はずっと悪かったが口数も増え大分落ち着いている様子だったので安心していたがその見立てこそ大きな間違いだった。

『どこに行くんだっ⁉︎』

棺桶の中に一人一人が花を添えていた時、何を思ったのかいきなり外に飛び出した。

後を追った時は既にその姿はなかった。

(……川か……)

火葬場の前を流れる大きな川。

何故かあの日と同じだと当時の光景がフラッシュバックする。

しかしその嫌な予感は大当たりだった。

川の方に向かって歩く人影は紛れもなくあの人物だった。

「……ママッ!」

そしてその時〝あの頃″と同じ感情が沸き上がった。

あれは高校1年の頃。

自分はクラスにはやい内に馴染んでいたがそれでも窓際がいつも気になった。

窓際の彼女はお喋りではなかった。

大人しくいつも物憂げな表情を浮かべる儚げな美しい少女。

自分がどの部分に惹かれたのか分からない。

でも本能的に自分と同士であることを悟っていたのかもしれない。

そして自分はあの日の帰り道、目撃してしまう。