白銀のカルマ

「………私は昔これでも会社の社長をやっててね」

千明は雨が止むまでホームレスと身の上話をしていた。

ほとんどホームレスの自分語りに付き合っているだけだったので正直かったるかったが人とまともに会話をするのは久々であり自分がかつて通った道や風景をよく知っていたことに親近感が湧いたためか黙って身の上話に聞き入っていた。

29歳の時に借金まみれになり自己破産しホームレス生活を余儀なくされたようだが破産する以前から坂道を転げ落ちるような人生だったと言う。

「………うちの父も私と同じ実業家だった。父は私と比べ、はるかに商才もあった。
けど、父は自殺した」

「……どうしてですか?」

「…………娘が死んだショックでね。」

「……それは気の毒ですね……」

「………自分もそれが原因で精神のバランスを崩して………暫く会社を休んでたら、一緒に会社を立ち上げた奴に金を持ち逃げされてね………」

このホームレスの転落人生の始まりは自分の妹の死だった。

しかも父の自死や母も恋人を作り夜逃げするなど身内にも不幸が相次いだ。

自分も勤めていた工場が倒産したり理不尽な理由で仕事をクビを宣告されたりと色々踏んだり蹴ったりだがホームレスの人生の悲惨さに比べれば全然大したことはなかった。

初めはさほど興味がなかったホームレスの波乱万丈の身の上話に興味津々で聞く千明に対しホームレス自身に起こった不幸について分析した。

「………妹と愛し合ったことの罰だろうか」