白銀のカルマ

「確かに…お父さんは…家庭を捨てた…。そして……何の…罪のない………多くの人を………殺めた………。それは紛れもない……事実………絶対……許されない………」

母・和歌子も父を今でも許してはいなかったが最期にどうして娘に伝えたいことがあった。

「…けど…お父さんは…悪い人じゃない…。あなたや私のことを…家族を愛してくれてた…。許せなくてもいい…。どうか…分かってあげて……彼は悪い人じゃないの……ただ不器用なだけなの……」

母のその言葉を聞いた途端、自分の中で抱いていた率直な印象は全て正しかったと思えた。

実はこれまでに何度も父が手記に残した遺体隠蔽の全容が夢に出てきたのだ。

しかし父に何度も謝られても怒りに任せて冷たく振り払い何の収穫もなかったのは事実であるが。

「……あなたは怒るかもしれないけど……口下手だけど優しいところ……お父さんに本当よく似てるわ」

「………。」

それを聞いた途端、動きが止まる香織。

動きが停止した娘の姿に母は自分の発した言葉が癪に触ってしまったのではないかと不安になり謝ろうとした時だった。