白銀のカルマ

「……嘘じゃない」

「……これは夢よ」

「夢じゃありません」

なかなか現実を受け止めようとしない幹枝に間髪入れず突っ込みを入れた。

理想と乖離した現実を前に幹枝の精神は崩壊しそうになったがそれでもなお翼は容赦ない言葉を投げ続けた。

「………あなたの歪んだ目で見る優一さんこそまがい物に過ぎません。……それこそ夢です」

「……翼……」

「………優一さんが殺されかけたあの事件。本当に加害者だけの責任ですか」

「……どういう意味?」

自分達は100%被害者だという認識だったために自分の方にも非があるのではないかと言う様な物言いに顔を引きつらせながら食ってかかった。

「正直僕もあの事件の加害者の言い分は理解できない部分が多いです。それに一番の原因は優一さんに拒絶されたという私怨が招いたことだと思います。ですがあの加害者の言ってることを全部否定できません」

「………何がいいたいの」

「〝自由じゃない彼を救ってあげたかった。彼はいつもお母様の顔色ばかり伺ってた″っていう部分は当たっていたと思います。」

「………!」

その言葉にどれだけ狼狽しても優一が否定する様子はなくむしろその言葉に小さく頷いて肯定的な態度を示していた。

「…お母さんの顔色を伺い過ぎたが故に自分のセクシャルを打ち明けることも出来ずにおまけに自分自身を否定して生きてきた。」

「……嘘」

「……音楽はあなたの機嫌を取る唯一の手段になっていった」

「………違う。私はこの子に父親を超えるような音楽家になってほしかっただけ。ずっと応援していた!」

「………けどそれは応援ではなく単なる重圧だった。」

「………違う、違うッッッ………!」

「あなたは人間関係を壊すばかりじゃなく優一さんの大切な人を死に追いやった」

「………出鱈目はよしなさいっっっ!!!」