白銀のカルマ

「朝ごはん出来てるよ」

「……ありがとう」

あれから一夜。

目を覚ますと時計の針は朝9:00を指していた。

今までなら昼前まで寝ても気分が優れないことが多かったが今日の目覚めの良さはひとしおだった。

本当の幸せに包まれているためか顔を洗い朝ごはんを食べるだけでも夢見心地だった。

「…ごめん、ちょっと今から用があるから家空けるわ」

「うん」

「昨日言ってたキーボードいつでも練習に使っていいからね」

一緒にいられるという幸せを噛みしめながら身支度を済ませると二階の物置部屋に向かい彼所有のキーボードでピアノの練習を行った。

そして演奏をしている最中も身も心も高ぶったあの夜のことを思い出していた。

とにかく激しかった。

今までにないくらい熱く深く満たされた一夜だった。

僕らは何度も何度もインターバルを挟みながら愛し合ったので体力をかなり消耗したはずだがそれでも一晩では足りないくらいだった。

彼は『演奏を聞いていると落ち着くからずっと側にいてくれ』と言ってくれた。

将来が見えず不安になっていた頃の自分に分けてあげたいほどの幸せを僕は今噛みしめている。

そんな時だった。

「はーい」

熱い愛に燃えた昨晩を回顧する昼下がり水森家のチャイムが鳴った。