白銀のカルマ

「…でも俺なんかといたら君が不幸になるだけだよ」

「…不幸?一緒にいられるならそれだけで幸せです」

今まで関係を持ってきた女ほぼ全員、俺の財産目当てで寄ってきたと言っても過言ではなく父と母の夫婦の姿を目の当たりにしたら『結婚』の行く末が支配と不幸だけだと目に見えていた。

一生誰も愛さないと言う固い決心すら揺るがすほどさっきの一言でいとも簡単に再び誰かを愛したいと思い直すことが出来た。

「………それでも良いの?」
「……えぇ。構いません」

礼を言うとすかさず優一の唇にキスをした。

「…………ッ!」

大胆に告白した側であるにも関わらずいきなりの口づけに動揺し体を震わせる優一。

「………先生。良いんですか……?」

「……あぁ当然だよ。それにもう先生なんて余所余所しい呼び方は辞めてくれ」

医師と患者の仲を超えた感情がいつ芽生えたかは分からない。

でもただこれだけは分かる。

自分の人生には優一が必要だ。

「……愛してるよ」

その言葉を聞いた途端、優一の目から涙が零れ落ちた。

一番聞きたい言葉だった。

自分はこの病院に通い始めた時からこの人でないと駄目だと悟っていた。

ずっと自分の想いを胸にしまい続け良好な医者と患者の関係を継続しようと努力してきたが不可能なことだった。

互いの想いを知った後、同じベッドの中に潜り込んだ。

今誰にも邪魔されない二人だけの世界にいる。

部屋に差し込んだ微かな月の光は重なり合う二人の影を作った。